最近の僕の考えの一つになりつつある言葉です。
コーチングでは、常に答えは相手の中にあるという前提で関わります。
これはスポーツ選手でもほぼ同じです。
僕はサッカーで海外挑戦を目指すアスリートをコーチングでサポートしていますが
その人との事例を一つ紹介すると、ある時
「試合中にミスをした時に、そのミスに囚われて次のプレーが思うようにいかなくなる。どうしたらいいか。」
と話題にあがったことがありました。
話をだんだん聞いていくと
「ミスすることは誰にでもある。みんなはどんな方法でミスしたあと対処しているのか知りたい」
というものでした。
「ちなみにミスしたあとにどんな状態になっていることが理想なの?」と聞くと
「試合入る前のようにフラットな状態でいたいです」と。それから
「フラットな状態ってどんな状態?」と聞くと
「落ち着いています。少し先の未来のことも考えられます。いいイメージをもてる状態です」と言いました。
話しを進めて、「試合前はその状態にどうやってなってるの?」と聞くと
「呼吸はゆっくりしてますね」
と少し何かに気付いた様子で答えました。
「ミスしたあと大きく深呼吸すると良さそうです。」と続けて言いました。
それは試合中にできそうか確認すると、
「いい方法です!ですが時間が足りないかもしれません」と。
方法を一つ発見したもののそれで次の試合は大丈夫なのか気にしている様子でした。
「どんなところが心配?時間?」
「はい。瞬時に切り替える方法をもっと見つけたいです。」
とリクエストがありました。
僕は相手からリクエストがあると、情報を提示するようにしています。
情報をテーブルに載せていくイメージです。
この話の時は、
「テニスプレーヤーの中には”大きく叫ぶ”という方法をとってミスから切り替える人がいる」
「大坂なおみ選手はコーチと”ラケットを叩きつける”という方法で切り替えようと約束していたみたい」
「あるサッカープレーヤーは、ソックス降ろしてすね当てを外してまたすぐ付けるという行動で心のリセットをする」
など持っている情報を提示しました。
すると何かに気付いたようで、
「たしかにすね当て触わるミスから意識が逸れていく感覚わかります!」
「僕も過去にそんな経験がありました」と発見したようです。
テーブルに置いた情報を自分で掴みに行った瞬間です。
そこでもう一度「もし試合中にミスしたとしてどんな方法で対処していく?」
と聞くと
「呼吸に意識して、すね当てに触ります」
「これが良さそうです!」とモヤが晴れた様子でその時のコーチングを終えました。
後日あの時の考えた方法は実践で有効だったかと聞くと、
「ミスはどうしても起こってしまいましたが、うまく切り替えて調子を持続できました」
と。また、
「切り替えることもそうですが、そもそも対処の方法を知っているだけでミスを恐れなくなりました」
と言っていました。
僕は選手本人の感覚はわかりません。その為、暗にこの方法が良いとも言えません。
僕が答えをもっているのではなく、成長のための答えは選手の中にあった改めてと感じた事例でした。
実は僕たち大人は、指導者や先生や大人は、子どもや選手より必ず答えを知っているという
固定概念を持っています。ですがそれは必ずしもそうではありません。
とらわれた考え方なんです。
確かに経験上、知識やノウハウは選手より多くもっています。
でもその全てが選手やこどもにとっての最適解なのかはわかりません。
成長のための答えは選手の中にある。
これからの指導現場で一つのヒントになり得ると思います。
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