皆さんが選手だったら、
試合前にどんな話を望みますか?
試合前のミーティングで有名になったのは
2019年ラグビーW杯のアイルランド戦。
ジェイミー監督が日本文化の詩を読み、選手を鼓舞しました。
他にはボカジュニアーズ(サッカーチーム)の
U15キャプテンが有名です。
感謝の気持ちと共に、闘争心を奮い立たせています。
『PEP TALK』というスキルも
徐々に有名になってきていますね。
試合前のミーティングの時間は選手にとって
一番ナーバスであり重要な時間です。
指導者として、どんなことをその時間で共有するといいのか
事例も踏まえながら、僕の考えを綴ります。
■試合前のミーティングの目的
この事を考えるにあたり、必要なことは
ミーティングをする目的を決めることです。
試合前にミーティングをする理由として、
勝つために準備をすることが前提になるのですが、
最も重要な目的は、
【 選手やチームをベストな状態に整える 】
ことだと考えます。
この「ベストな状態」を紐解いていくと、
①曖昧なことがなく、試合に対してするべきことがクリアーであること
②力を最大発揮できる精神状態であること
だと定義します。
■曖昧なことがなく、試合に対してするべきことがクリアーであること
①を簡単に言うと、【戦略・戦術】がはっきりしていることです。
人は曖昧なことがあると行動を躊躇する
ようにできています。
だから、明確にする必要があるのですが、
いくつか項目を持っていると多角的にはっきりしてくるので便利です。
☐ 練習で積み重ねたことの振り返り
☐ 相手の強み、弱み
☐ 試合の運び方(ゲームメイク/ペース配分)
☐ 攻撃パターン
☐ 守備の注意事項
☐ ポジション毎の連携の確認 など
人が一時的に記憶できる内容は、多くて3つまでです。
試合前は何が優先順位が高いのか見極めて、
戦術・戦略についての共有を行います。
■力を最大発揮できる精神状態であること
②はいわゆる【メンタル】の部分です。
「試合前のベストなメンタルは?」
皆さんだったらどんな状態が一番力を発揮しやすいでしょうか。
試合前に選手が抱える感情は山ほどあります。
・やる気 ・不安 ・焦り ・緊張 ・恐怖 ・自信 ・迷い
・勇気 ・チャレンジ ・闘争心 ・希望 ・尊敬 ・感謝
・冷静 ・落ち着き ・集中 ・見下し ・侮り ・驕り
・慢心 ・敬意 ・油断 etc…
どれがどの程度あるとベストな状態になるかは個人差がありますが
7人制女子ラグビーのヘッドコーチだった稲田監督は
試合前の精神(感情)項目を
☐ リスペクト
☐ 闘争心
☐ 緊張感
に絞って選手と共有するそうです。
■精神状態が整っていないと…。
スポーツにはジャイアントキリングと呼ばれ、
番狂わせが時々起こります。
その原因にあるのが、
格上のチームや選手の精神状態が
「驕り」「見下し」「侮り」といった
リスペクトの欠けている状態であることがほとんどだそうです。
また格下のチームや選手が勝つ要因に
相手より闘争心が高い状態であることが考えられます。
そしてちょっとした緊張感も重要です。
ありすぎてもいけないし、なさ過ぎてもいけない。
ほどよい緊張感が高い集中力を創り出して
いいパフォーマンスを生みます。
■精神状態を整えるために話すこと
このことから、試合前に選手へ何を話すかと言うと
「相手をリスペクトできてるか?」
「相手より闘争心はあるか?」
「ほどよい緊張感をもっているか?」
と確認しています。
先ほども書きましたが、この精神状態には個人差があります。
そして、指導者がコントロールできるものではありません。
でも、マネジメントはできます。
例えば、リスペクトを欠いていてる状態に見えれば
「ベストな状態に比べて、リスペクトを欠いているように見える」
とフィードバックします。
客観的な意見が選手自ら修正するきっかけにもなります。
もし、もう少しアプローチが必要そうであれば、
「それでいいのか?」と促します。
でも「リスペクトしなさい」は有効ではありません。
理由は、同じく、感情をコントロールできないからです。
選手自らが気付き、修正できるように促すことです。
闘争心や緊張感にとっても同じような話法で
精神状態をマネジメントしていきます。
■最後に
話を戻すと、
ジェイミー監督もボカジュニアーズのキャプテンも
ベストな精神状態にもっていくような働きかけをしています。
鼓舞することも選手のメンタルを整える1つの効果的な手段です。
目的は選手やチームをベストな状態に整えるため。
高度なスキルが求められますが、
①曖昧なことがなく、試合に対してするべきことがクリア―であること
②力を最大発揮できる精神状態であること
を意識しながら試合前に話すことを決めていくことが
僕の考えです。
皆さんはいかがでしょうか?
ぜひ皆さんのお考えも共有くださると嬉しいです。
では今日はこのへんで。
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