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【コミュニケーションタイプ】選手のモチベーションを高める関わり方

スポーツチームを指導するときによくあること。
同じコミュニケーションをとっていても響く選手と響かない選手がいる…
モチベーションを高める声掛けをしたつもりが思ったようにいってない…

このようなことを解決するために、本記事では以下の内容を紹介しています。

✅ 本記事の内容
1.コミュニケーションタイプって?
2.それぞれのコミュニケーションタイプの特徴
3.タイプとタイプの関係性と注意点
4.指導者の活用方法

スポーツチームをご指導している方で、選手や保護者さんともっと上手くコミュニケーションとりたい方や、選手のモチベーションをもっと引き出したい方は、ぜひこの記事をご参考ください。

■ コミュニケーションには4つのタイプがある

 人には、4つの血液型があるように、人間関係コミュニケーションのとり方にもタイプがあります。どれが良いとか、悪いとかではなく、自分のタイプを知り、選手のタイプを知ることで、それぞれの価値観の違いに気がつきます。また、指導者は指導者、選手は選手と素直に受け止められれば、今よりずっとチーム全体の関係が楽に、楽しくなるはずです。

 コミュニケ―ションのタイプも大きく4つのタイプに分けられます。
❶コントローラータイプ(直進型)
❷プロモータータイプ(促進型)
❸サポータータイプ(援助型)
❹アナライザータイプ(分析型)

 まずは、それぞれの特徴を説明していきます。
 行動パターンは選手のタイプを見極める一つの参考にしてください。

❶ コントローラータイプ(直進型)

・特徴

 人からああしろこうしろいわれるのをもっとも嫌います。俺について来い流のリーダーに多くみられるタイプで、統率力やリーダーシップに優れています。決断力がありますが、自分の内面に目を向けることは苦手です。コントローラータイプの選手は行動的で自分が思った通りに物事を進めることを好みます。過程よりも結果や成果を重視します。リスクを恐れず、目標達成に邁進します。監督や仲間から指示・命令されることに抵抗を感じやすいです。アドバイスを与えるより本人に任せることが有効です。自己有能感を感じたいタイプなので仲間からアドバイスを求められると喜びます。

・コントローラータイプの選手の行動パターンとして、以下の傾向がみられます。
○ リアクション → 速い
○ 話す速さ   → 速い
○ 話の長さ   → 結論から単刀直入に話すので、短い
○ 声の調子   → 断言口調
○ 表情     → 頼れそう
○ 姿勢     → 腕組み、足組み、硬い
○ 話の話題   → 試合や練習について
○ スタンス   → 要点を話そうとする

サッカー選手で例えるなら、本田圭佑選手はこのタイプでしょう。(筆者の勝手な推察です)

❷ プロモータータイプ(促進型)

・特徴

 自分のオリジナルなアイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好むタイプです。自発的でエネルギッシュ、好奇心も強く、楽しさこそ人生と思っています。多くの人に好かれます。変化や混乱に強く、順応性があります。ただ飽きっぽいところがあり、一つのことを達成したり、持続するのが苦手です。また、計画を立てたり、計画通りにすることも苦手です。注目されることがとにかく好きで、話の中心になる、仕切り役に任されるなど、周囲から関心の目が向けられている状態を好みます。よく話しますが、人の話はあまり聞かない方です。

・プロモータータイプの選手の行動パターンとして、以下の傾向がみられます。
○ リアクション → やや速い
○ 話す速さ   → 速い
○ 話の長さ   → 話があちこちに飛び、展開が早いので、長い
○ 声の調子   → 抑揚がある
○ 表情     → 楽しそう
○ 姿勢     → 身振り手振り砕けた感じ
○ 話の主題   → 人や人間関係について
○ スタンス   → 人に影響を与えるように話す

チームの中でもひと際陽気な選手なので、長友佑都選手槙野智章選手がプロモータータイプではないでしょうか。

❸ サポータータイプ(援助型)

・特徴

 人を援助することを好み、協力関係を大切にするタイプ。俗にいう良い人です。周囲の選手や監督の気持ちに敏感で気配りに長けています。一般的に人が好き。自分自身の感情は抑えがちです。また、仲間や監督から認めてもらいたいという欲求も強いのが特徴です。直観力があり、人の心を読むことが得意です。結果よりも人優先で、リスクを冒すことは苦手です。決断に時間がかかる傾向があり、対立は避けます。ノーとは言えない選手です。人間関係のまとめ役を自然と担ってることがあります。無意識に仲間からの感謝や愛情を求めています。

・サポータータイプの選手の行動パターンとして、以下の傾向がみられます。
○ リアクション → ややゆっくり
○ 話す速さ   → ゆっくり
○ 話の長さ   → 前置きが入る、すべてのことを話すので、長い
○ 声の調子   → 穏やか、温かい
○ 表情     → 優しそう 
○ 姿勢     → うなづき、あいづち
○ 話の話題   → 仲間やチームワークについて
○ スタンス   → 期待に応えるように話す

カメラで観るピッチ外の岡崎慎司選手冨安建洋選手は、温厚な様子が多く見られるのでサポータータイプだと思っています。

❹ アナライザータイプ(分析型)

・特徴

 行動の前に多くの情報を集め、分析、計画を立てるタイプ。情報がないまま行動することは難しく感じます。「まぁいいからちょっとやってみようか」なんて軽い気持ちで行動を起こすことはしません。物事を客観的に捉えるのが得意で、状況に振り回されません。完全主義的なところがあり、ミスを嫌います。問題解決と分析の専門家。変化や混乱に弱いです。ですが、決めたことには粘り強く、最後までやり遂げます。確実で丁寧なプレーを心がけることも特徴です。人との関わりは慎重で、感情をあまり外へ表しません。孤立することがあまり苦になりません。人は好きですが、大多数が苦手です。「まじめ」とよく言われます。

・アナライザータイプの選手の行動パターンとして、以下の傾向がみられます。
○ リアクション → ゆっくり
○ 話す速さ   → ゆっくり
○ 話の長さ   → 順を追ってロジカル話すので、長い 
○ 声の調子   → 単調、冷静 
○ 表情     → マジメそう 
○ 姿勢     → 直立不動、硬い 
○ 話の話題   → 試合や練習について
○ スタンス   → 正確に話そうとする

これはアスリートで例えると(競技では感情表現が多くなるので)難しいのですが、サッカーの遠藤保仁選手は常に冷静沈着に状況分析する選手なのでアナライザータイプでしょう。

■ それぞれのタイプの選手が好むコミュニケーション

 以上の特徴から、選手が好む関わり方や声掛けといったコミュニケーションが分かってきます。
 ここでは簡単にキーワードだけ抑え、実践現場にて独自でアレンジしてみて下さい。
 また、それぞれの関わり方の図も用意しました。コミュニケーションをとる手段として知っておくと、スポーツに限らず日常場面で有効活用できます。

❶ コントローラータイプが好むコミュニケーション

✓ 話は単刀直入に。前置きせず、要点を早めに知らせる
✓ アドバイス・指示は極力しない。全面的に任せると力を発揮する
✓ 「いってこい」「お前に任せた」「頼んだぞ」と有能感と競争心をくすぐる
✓ 「君の意見を聞かせて欲しい」「君ならどうする?」とアドバイスを求める

❷ プロモータータイプが好むコミュニケーション

✓ 細かい情報や論理性より、イメージや雰囲気、可能性を伝える
✓ 間口の狭い質問より、間口の広い質問で、自由に話させる
✓ 話を遮らず、あいづち(「へぇ~!」「それで⁉」)をする
✓ 褒めて伸ばす「さすがだねぇ」「すごいねぇ」「みんな〇〇君を見習ってみよう」

❸ サポータータイプが好むコミュニケーション

✓ 大きな決断は一人でさせるより、仲間やコーチと一緒にしてあげる
✓ 感謝の意を伝える。「いつもありがとう」「助かってるよ」
✓ 頻繁に声を掛けてあげることが安心感につながる
✓ イェスマンということを忘れず、無理させない

❹ アナライザータイプが好むコミュニケーション

✓ 正確な情報を、丁寧に伝える。正しいことをしていると具体的に知らせる
✓ 間口の広い質問より、間口の狭い質問をして、具体的なことについて話す
✓ 会話は正確な情報を話そうとするので、思考の整理中はじっくり待つ
✓ 会話の頻度は多すぎても困る。頻度は少なめで、適切なタイミングで会話すること

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タイプごとの関係性とモチベーションの上げ方

好みのコミュニケーションが分かったところで、関係性とモチベートのヒントついて解説します。

まずは関係性ですが、図の縦・横同士の関係は比較的似ている傾向があるんです。
ですが、斜めの関係は性格や特徴が相反しています。

なので、「話しが嚙み合わない…。」といった悩みがある場合は相反するタイプの可能性があります。ですが、だからといって、全てが上手くいかない訳ではありません。お互いが互いの事をよく知れると、強み弱みを埋められる最強ペアにもなり得ます。

そして、モチベーションの上げ方ですが、秘訣はそれぞれの選手の特徴を知ることからです!!上記の特徴や行動パターン、好みのコミュニケーションから、選手にあったモチベートを探してください。そのためのヒントをタイプごとにまとめた図がこちらです。

最後に、以上のコミュニケーションタイプを把握し、実践で活用している指導者さんがいるので紹介します。

■ 指導者さんの実践事例

 7人制女子ラグビー さくらセブンスの 稲田仁 さん(元HC)は、選手一人一人のタイプを把握し、試合前の声掛けから、日常生活の場面で活用しています。特に日本代表はメンバーの入れ替わりがあるので、新人選手が加わると、先ずはコミュニケーションタイプを確認する機会を設けています。

 関係性が始まるときにタイプの確認をしておくこと。すると、その後の関係がより良くなり、パフォーマンスも上がりやすいそうです!

 野球の トミー・ラソーダ さん(元ロサンジェルス・ドジャース監督)は、ある選手が打席から帰ってきたときに「ナイスバッティング!!」と言いました。でも、その選手はその声掛けに良い反応を示しません。すると持っていたメモ用紙に、〇〇選手には「ナイスバッティング!!」は響かないとメモします。次またその選手が打席から帰ってきたとき、今度は「グッド。」と言いました。すると選手は「thank you Boss」と言うのでメモ用紙に〇〇選手は「グッド。」が響くとメモしたそうです。

 指導者はこうして、常に選手の反応に意識を傾けることです。どんな関わりが選手にとって有効なのか、確認し続けることが大切だと分かります。

■ まとめ

今回は、「選手のモチベーションを高める【コミュニケーションタイプ】」について紹介しました。
本記事をまとめると、以下のようになります。

✅ まとめ
・ コミュニケーションには、4つのタイプがある
・ タイプごとに好みのコミュニケ―ションが異なる
・ モチベーションアップの秘訣はそれぞれの選手の特徴を知ること!!
・ 優秀な指導者さんほど選手のタイプごとにコミュニケーションを使い分ける

ぜひ、今回の紹介した情報を参考に、スポーツ現場での選手のモチベーションアップにお役立て下さい。

なお、今回紹介したコミュニケーションタイプは、独自の診断ツールも用意しています。チーム全員で診断したい、話しを聞いてみたいなど、ご要望はお気軽にお問い合わせください。

また、このような、指導者・選手・チームの成長スピードが高まり、力を最大限発揮できる方法を、スポーツコーチング基礎講座にて定期的にお伝えしています!「スポーツコーチング概要」の説明も随時申込いただけます!

あらゆるスポーツ現場のコミュニケ―ションが上手くいき、選手も指導者もスポーツに関わる人全員の力が最大限に発揮できたらいいですね。

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